米中間選挙・決算・FOMCが重なる3週間 — 日本株の見通しと行動プラン(2026年10月)

2026年10月14日から11月4日までの約3週間は、半導体決算、米大手IT企業の決算、FOMC、そして米中間選挙が立て続けに訪れる、今年でも屈指のイベント集中期間です。

結論から言うと、株価を最も大きく動かすのは選挙そのものではなく、日本時間10月28〜30日に連続するMicrosoft・Alphabet決算、FOMC、Amazon決算になる可能性が高いとみています。本記事では、選挙の最新見通し、日本時間のスケジュール、シナリオ別の値動き、直近のローツェのストップ高から読み取れること、そしてSQ後の日経平均の注目水準を順に整理します。

10月全体のイベントは10月の投資カレンダーでもまとめているので、あわせて確認してください。

要点

  • 選挙:予測市場は民主党が上下院とも制すシナリオを本命視しており、大半は織り込み済み。サプライズは共和党の両院維持。
  • 最大の論点:AI投資の回収(ROI)。OpenAIの売上高を巡る報道で、この懸念がすでに表面化し始めている。
  • 行動の軸:ポジション縮小はTSMC決算(10月15日)後〜10月27日に、買い戻しは10月30日以降の急落局面で分割して。つみたて・インデックスはどのシナリオでも継続。

中間選挙の現状予測と歴史的パターン

投開票は11月3日(米国時間)です。予測市場では民主党優勢が鮮明になっています。

項目現状(10月上旬)
上院民主党の奪取確率 約63%(10月8日、Kalshi・Polymarket平均)。夏は共和党優勢だった
下院民主党の奪還確率 約85%
世論調査投票見込み層の汎用投票で民主党が9ポイントリード(Nate Silver)

歴史的なパターンも押さえておきましょう。

  • 中間選挙の年は、S&P500が年内高値から平均18%下落するのが通例とされる。
  • 一方、1970年以降の中間選挙14回すべてで、選挙後6か月のS&P500は上昇し、平均リターンは15.5%。
  • 「中間選挙の年は弱い」という評判は主に大統領1期目のデータに基づく。今回はトランプ大統領の2期目にあたる。
  • 相場を大きく動かすのは、予想どおりの結果よりもサプライズのほう。

イベント・決算スケジュール(日本時間)

最大の山場は10月28〜30日です。Microsoft・Alphabet決算の翌日にFOMCの結果が出て、その翌日にAmazonが続きます。米国企業は米国の取引終了後に決算を発表するため、日本株が反応するのは日本時間の翌朝の寄り付きからです。

日時(日本時間)イベント確度
10/13(火)3連休明け。休場中の米国市場とSOX指数を一度に織り込む確定
10/14(水)昼過ぎASML 7〜9月期決算予定発表済
10/15(木)午後TSMC 決算外部カレンダーのみ
10/28(水)早朝Microsoft・Alphabet 決算報道ベース
10/28〜30頃アドバンテスト 決算(例年10月末)各社IRで要確認
10/29(木)3:00FOMC 結果発表(10月27〜28日会合)確定
10/30(金)早朝Amazon 決算報道ベース
10月末頃Meta・Apple 決算未確認
10月下旬〜11月中旬信越化学・東京エレクトロン・レーザーテックなど各社IRで要確認
11/1米国が冬時間に移行(以降の米指標は22:30発表)確定
11/4(水)9:00〜米中間選挙の開票。東京の取引時間中に開票が進む確定
11/6(金)22:30米10月雇用統計確定
11/10(火)22:30米10月CPI確定
11月下旬頃NVIDIA 決算未確認
12/9〜10FOMC(経済見通し・ドットプロット更新)確定

FOMCで9月に利上げを決めたFRBが10月も動くかどうかは大きな焦点ですが、1990年以降、中間選挙直前の10月会合で利上げされた例はありません。FOMCが日本株に波及する経路はFOMC・米金利と日本株で詳しく解説しています。

シナリオ別の値動きと行動

選挙の結果そのものより、それを受けたドル円と米金利の反応が日本株の方向を決めます。確率は予測市場の組み合わせ契約から逆算した概算で、値動きは筆者の見立てです。

シナリオ確率(概算)想定される反応行動の型
A. 民主党が上下院とも制す約6割織り込み済みで初動は小さい。財政拡張の期待が後退すると米金利低下 → ドル安・円高 → 輸出株・半導体株に逆風インデックスは何もしない。個別株は円高一服後の押し目を候補に
B. 下院は民主党、上院は共和党約2割強典型的なねじれで中立。安心感からの選挙後ラリーが出やすいポジション維持
C. 共和党が両院を維持約1割最大のサプライズ。減税・財政拡張期待 → 米金利上昇・ドル高・円安 → 輸出株が初日に急騰しやすいが、グロース株には金利が重荷初日の上げは追わず、米長期金利の落ち着きを確認
D. 結果確定が数日遅れるどれとも重なりうる不透明感で値幅拡大確定まで新規建玉は控えめに

なお、関税は大統領権限で発動できるため、議会構成が変わっても止めにくい点はどのシナリオでも残ります。

時期ごとの値動きの想定

  1. 10/14〜15(ASML・TSMC):AI設備投資の需要が確認されれば、装置株は10月下旬に向けて上昇しやすい。設備投資計画の据え置きや慎重なコメントなら、装置株から先に売られる。
  2. 10/16〜27:大型イベント前で値動きは小さくなりがち。選挙1か月前から相場が上がり始めるという過去のパターンとも重なる。
  3. 10/28〜30:最大の山場。設備投資が増額されれば日本の半導体株に追い風だが、投資拡大がかえって嫌気された例もあり、方向は読めない。
  4. 11/4:本命どおりなら値動きは限定的。
  5. 11月中旬以降:過去の傾向では選挙後の上昇局面に入りやすい時期。

ローツェのストップ高から読めること

ローツェ(6323)は10月9日にストップ高となりました。半導体製造装置の需要が実際の数字で強いことは確認できましたが、10月下旬に控えるAI投資のROIリスクについては何も解消していません。

何が起きたか

  • 10月8日に上半期決算を発表。営業利益は231億円(前年同期比42%増)。27年2月期の通期営業利益予想を381億円から531億円に引き上げた。
  • 531億円は市場予想(約450億円)を大きく上回る水準で、背景は旺盛な半導体需要。
  • 同じ日、AI関連株は全体に売られた。OpenAIの年換算売上高が従来の示唆を約200億ドル下回るとの英紙報道を受け、ソフトバンクグループが大幅安となった。

判断できること

  1. 台湾向けの設備投資は足元で強い。 ローツェはウエハ搬送装置のメーカーで、台湾に大口顧客を持つ。10月15日のTSMC決算に対する前向きな先行指標になる。
  2. 市場は二極化している。 実際に売れている装置メーカーは買われ、「AIで本当に稼げるのか」という疑問が出た会社は売られた。10月28日のMicrosoft・Alphabet決算の最大の論点がROIであることを示唆している。
  3. ストップ高には「予想を大幅に超える」ことが必要。 市場予想を約2割上回ってようやくストップ高だった。市場予想が会社計画を上回っている銘柄では、会社計画どおりの増益では「想定内」と受け取られる可能性がある。

行動への含意

  • 装置株は10月中旬に先回りして買われやすく、10月28日時点では好決算が織り込み済みになりやすい。ポジションを減らすなら、TSMC決算後に上がった局面のほうが条件は良い。
  • 好決算でストップ高になった銘柄は、しばらく同じ方向に動き続けやすい(決算後ドリフト)。逆張りで「上がりすぎだから売り」と判断すると連敗しやすい形なので注意したい。決算発表をまたぐリスクについては決算プレイの危険性も参考になります。

SQ後の日経平均の見通しと注目水準

今後2〜3週間は上下に振れながら方向感の出ない展開を基本とみますが、下振れリスクのほうが大きく、10月28〜30日の前後で5〜10%程度の調整が起きても不思議ではないとみています(筆者の見立て)。

SQ日(10月9日)の状況

  • 前夜の米国でナスダックが1.25%、SOX指数が3%超下落。夜間の日経平均先物は、8日終値(6万9042円)より約650円安い水準で引けた。米10年債利回りは5.23%。
  • 9日の13時時点で日経平均は266円安だった一方、TOPIXはほぼ横ばい。下げは半導体などの値がさ株に集中し、市場全体が崩れたわけではない。

調整しやすい材料

  • AI投資のROIへの疑問。日経平均は東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループの寄与度が大きい。
  • 米金利の高さ。10年債利回りは5%台で、FRBは9月に利上げした。
  • 前例。7月中旬にはTSMCやASMLの好決算後にも過熱感から売られ、日経平均は週間で6.44%下落した。

崩れにくい材料

  • これまでの上昇の多くは業績予想の上方修正で説明できる。日経平均の予想EPSは年初の2190から2925へ、半年で34%増えた。
  • ローツェのように、業績の数字自体はまだ伸びている。
  • 中間選挙前後は、過去のパターンでは上がりやすい時期。

注目水準(参考)

水準意味
6万9000円前後10月8日終値。回復できるかが目先の上値の目安
6万8000円前後10月9日夜間の下値(6万8020円付近)。明確に割ると調整本格化の合図になりやすい
10月限SQ値日中にSQ値へ一度も届かなかった場合(幻のSQ)、上値の壁として意識されやすい

SQ値の見方はSQとは何かで解説しています。

調整が起きるなら、日経平均が先に、より大きく下げやすい構造です。日経平均とTOPIXの比率(NT倍率)が下がる局面では、TOPIXやインデックスの積立はそこまで傷みません。両指数の違いは日経平均とTOPIXの違いを参照してください。

行動プランまとめ・チェックリスト

ポジション量は10月27日までに確定し、10月28〜30日をレバレッジなしで通過することが軸です。

  • 10/13:休場中の米国の動きを一度に織り込む日。寄り付き直後の値動きは荒れやすい。
  • 10/14〜15:ASML・TSMCの設備投資コメントを確認し、半導体株の保有継続を判断する。
  • 10/15〜27:保有量を「半導体株が10〜15%急落しても持ち続けられる量」に調整する。半導体関連の複数銘柄は、実質的に1つの賭けとして合算で考える。
  • 10/27まで:信用建玉・レバレッジを軽くする。寄り付きで窓を開けると、逆指値は想定価格で約定しない。
  • 10/27まで:縮小して作った現金の使い道を決めておく(例:10月30日以降の急落で3回に分けて買い戻す、上昇は追わない)。
  • 10/29朝:FOMCの結果と、Microsoft・Alphabet決算での設備投資・ROIに関する説明を確認する。
  • 11/4:開票速報を見ながら、ドル円と上院の激戦州の結果を確認する。
  • 全期間:つみたて・インデックスは継続する。
  • 日程が未確定のもの(TSMC、アドバンテスト、Meta・Apple)は、各社IRで最新情報を確認する。

まとめ

米中間選挙は大きなイベントですが、市場はすでに民主党優勢をかなり織り込んでいます。それよりも、10月28〜30日に集中する米大手IT決算とFOMCで、AI投資の回収が説明できるかどうかが、日本の半導体株と日経平均の方向を左右しそうです。

イベントの結果を予想して賭けるより、「どの結果になっても持ち続けられる量」を先に決めておくことが、この3週間を乗り切る最大のポイントです。

※本記事は2026年10月12日時点の公開情報をもとにした筆者の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。確率や値動きの想定は見立てであり予測ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

よくある質問

2026年の米中間選挙は株価にどのくらい影響しますか?

予測市場では民主党が上下院とも制すシナリオが本命視されており、その大半はすでに株価に織り込まれていると考えられます。歴史的にも、1970年以降の中間選挙14回すべてで選挙後6か月のS&P500は上昇しています。株価を大きく動かすのは予想どおりの結果よりもサプライズで、2026年の場合は共和党が両院を維持するケースがそれにあたります。

選挙よりも注意すべきイベントは何ですか?

日本時間10月28〜30日に、Microsoft・Alphabetの決算、FOMCの結果発表、Amazonの決算が連続します。AI投資の回収(ROI)が最大の論点になっており、この3日間の値動きが選挙の影響を上回る可能性が高いとみています。日本の半導体関連株は、この結果に強く連動します。

米中間選挙の開票は日本時間でいつですか?

米国東部で投票が締め切られるのは日本時間11月4日(水)の午前9時ごろです。東京市場の取引時間中に開票が進むため、上院の激戦州の速報に合わせてドル円や日本株が日中に動く可能性があります。

イベント前にポジションを減らすべきですか?

一律の正解はありませんが、判断の目安は「半導体株が10〜15%急落しても狼狽売りせず持ち続けられる量か」です。縮小するならTSMC決算後から10月27日までの値動きが落ち着いた期間に分けて行い、信用取引のレバレッジは大型イベント前に軽くしておくのが基本です。つみたてやインデックス投資は、どのシナリオでも継続するのが過去データと整合的です。

戦略太郎 @kabu_strategy_g

医学生 × 個人投資家 × 個人開発者。日本株の需給・信用取引を中心に売買しながら、 相場の「しくみ」を数字で検証する記事と、投資計算ツールをNext.jsで開発・公開しています。