追証が来てから正午まで——時間別の最善手と損失計算

夜中に届く追証通知

相場が急落した翌夜、証券会社からメールが届きます。「委託保証金維持率が低下しています。追加保証金をご用意ください」——この通知が来てから翌日の正午(12:00)まで、数時間しかありません。

パニックになる前に、落ち着いて3つの選択肢を整理しましょう。

3つの選択肢と実際の損失比較

以下の数字を前提に考えます。

  • 信用建玉: 100万円
  • 保証金(追証前): 20万円(維持率20%)
  • 追証必要額: 10万円(維持率30%まで回復させる場合)

選択肢A:現金を入金する

追証必要額(10万円)以上を入金して維持率を回復させます。

メリット:

  • 含み損のまま持ち続けられる。株価が回復すれば損失が縮む
  • 決済のタイミングを自分で選べる

デメリット:

  • 入金できる現金が必要
  • 株価が回復しない場合、損失が拡大したまま次の追証が来る

判断基準: 「なぜ株価が下落したか」を冷静に判断できるか。材料が出尽くした・地合い要因の一時的な急落であれば入金して様子見も一手。「とにかく嫌だから」という感情で入金するのは危険です。

選択肢B:建玉の一部決済

ポジションを一部売却して維持率を回復させます。

例:建玉100万円のうち35万円分を決済すると、残建玉は65万円になります。維持率 = 保証金残(含み損確定後)÷ 残建玉 × 100 で回復を確認してください。

メリット:

  • 現金がなくても対応できる
  • 損失を一部確定させることでリスクを縮小できる
  • 強制決済より自分でタイミングと価格を選べる

デメリット:

  • 損失が確定する
  • 「もったいない」という感情と戦う必要がある

選択肢C:何もしない(強制決済)

翌日正午までに対応しないと、証券会社が強制決済を執行します。

強制決済が最悪な理由:

強制決済は取引時間中に成行注文で執行されます。急落翌日の市場は以下の状態になりやすい。

  1. 板が薄い — 同じ銘柄に信用買いをしている他の投資家も同じ状況に陥っている
  2. 成行売りが集中 — 同じタイミングで大量の強制決済売りが出る
  3. スリッページが拡大 — 成行注文は最悪値段でヒットする

「強制決済ではどうせ安い値段になる」という恐怖から自分でも売る人が出て、さらに売り圧力が増します。自分で決済するのと強制決済では、最終損失額が数%〜10%以上変わることがあります。

3択の比較まとめ

選択肢現金の必要性損失の確定価格のコントロールリスク
A. 入金必要なし(含み損継続)株価回復しない場合に次の追証
B. 一部決済不要一部確定自分で指値可能決済のタイミングが遅れると不利
C. 何もしない不要確定(強制)不可最悪値段での執行リスク

判断フローチャート

追証通知を受け取る
         │
         ▼
  入金できる現金がある?
    │              │
   Yes              No
    │              │
    ▼              ▼
含み損は       一部決済で
一時的か?     維持率30%以上に
               回復できる?
    │            │        │
   Yes          Yes       No
    │            │        │
    ▼            ▼        ▼
  入金して    今すぐ     全決済
  様子見    一部決済   (強制決済より
                      自分でコントロール)
    │
    ▼
   No(株価回復見込めない)
    │
    ▼
  一部決済してポジション縮小

時間軸別アクション

時間帯状況推奨アクション
通知受信〜就寝前翌日の市場はまだ動いていない冷静に3択を検討。感情的な決断をしない
翌朝 8:00〜9:00場前気配を確認できる一部決済するなら寄り付き注文を仕込む
9:00〜11:00市場が開いている維持率をリアルタイムで確認。指値で決済を狙う
11:00〜11:30期限まで1時間未対応なら判断を確定させる。指値にこだわらない
11:30〜12:00期限が迫るすぐに成行で決済。間に合わなければ強制決済
12:00期限未対応で強制決済が執行される

翌日以降——次の防御線を引く

追証への対応が一段落したら、同じ状況が繰り返されないようにポジションを見直してください。追証の計算式を使えば「あと何%下落したら次の追証が来るか」を事前に把握できます。

追証が来てから動くのは遅い——とはいえ来てしまったなら、「何もしない」だけは絶対に避けてください。 自分でコントロールできる間に動くことが、最終損失を最小化する唯一の方法です。


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免責事項: 本記事は筆者個人の見解をまとめたものであり、投資助言や売買推奨を行うものではありません。信用取引には元本を超える損失が発生するリスクがあります。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。