何%の下落で追証になるか — 代用有価証券モデルで全パターン計算してみた
💡 自分のポジションで計算したい方へ:建玉・保証金・掛け目を入れるだけで維持率と耐久下落幅を自動計算する追証シミュレーターを用意しました。この記事の計算式をそのままツール化しています。
追証が「急に来る」理由
多くの個人投資家は保証金を現金ではなく保有株式(代用有価証券)で差し入れています。ここに落とし穴があります。
現金担保なら、下落時に目減りするのは建玉の評価額だけ。ところが担保が株式の場合、建玉と担保が同時に下落します。この二重の目減りが、維持率を現金担保より大きく、そして非線形に悪化させます。
計算に使う式
代用有価証券モデルで建玉と担保を同率下落させた場合、下落後の維持率は次の式で計算できます。
下落後維持率 = 初期維持率 × (1 − 下落率) − 100 × 下落率
整理すると:
= 初期維持率 − (初期維持率 + 100) × 下落率
初期維持率が高いほど下落率にかかる係数が大きく、ポイントとしての目減りも大きくなります。ただし余裕も大きいので、追証に最初に追い込まれるのは維持率が低い層です。
全パターン計算表(追証ライン:30%)
縦が下落幅、横が初期維持率。セルの数値は下落後の維持率(%)です。
投げ売り連鎖の構造
表から、急落時の連鎖が3段階で読み取れます。
第一波:−10〜−15%
初期維持率30〜40%層が追証確定圏(20%以下)に突入。50%層も35%まで落ちており、さらに数%の下落で追証ラインに達します。レバレッジを効かせていた層から強制決済が始まります。
第二波:−20〜−25%
初期50〜60%層まで追証圏・危険水域に。維持率に余裕があると思っていた層が次々と追証になり、売り圧力が再加速します。−25%以降は初期維持率30〜40%の層がマイナス——保証金が評価損に食い潰され、担保以上の借入残高が残る状態です。
第三波:−30%以降
初期維持率90%でも33%まで落ち、追証ラインすれすれ。「十分余裕があったはずなのに」という声が出るのがこのゾーンです。リーマンや2024年8月級の下落で想定外の層まで投げが出た構造的な理由がこれです。
何%の下落で追証になるかを逆算する
式を逆算すると、追証ラインに到達する下落率が求められます。
追証になる下落率 = (初期維持率 − 追証ライン) ÷ (初期維持率 + 100)
追証ラインを30%とした場合:
| 初期維持率 | 追証になる下落率 |
|---|---|
| 30% | 0%(すでにライン上) |
| 40% | 約7% |
| 50% | 約13% |
| 60% | 約19% |
| 70% | 約24% |
| 80% | 約28% |
| 90% | 約32% |
| 100% | 35% |
| 150% | 48% |
| 200% | 約57% |
信用取引をしているなら、「いま自分は何%の下落まで耐えられるか」を把握しておくことが最低限のリスク管理です。急落時のパニック判断を避けるために、数字を事前に計算しておきましょう。
免責事項: 本記事は筆者個人の見解をまとめたものであり、投資助言や売買推奨を行うものではありません。信用取引には元本を超える損失が発生するリスクがあります。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。
よくある質問
代用有価証券とは何ですか?現金で保証金を入れる場合と何が違いますか?
代用有価証券とは、信用取引の保証金として現金の代わりに株式などの有価証券を差し入れる仕組みです。現金担保なら下落時に評価額が減るのは建玉だけですが、代用有価証券の場合は担保である株式自体も同時に値下がりするため、維持率がより速く、非線形に悪化します。
追証(追加保証金)はどのくらいの下落率で発生しますか?
発生する下落率は初期の委託保証金維持率によって異なります。本記事の計算式「追証になる下落率 = (初期維持率 − 追証ライン) ÷ (初期維持率 + 100)」で逆算でき、たとえば維持率50%なら約13%の下落で追証ライン30%に到達します。
維持率に十分な余裕があれば追証は避けられますか?
余裕があるほど耐えられる下落幅は大きくなりますが、代用有価証券モデルでは担保と建玉が同時に目減りするため、維持率90%でも30%超の下落で追証ラインに接近します。「余裕があるから安心」と考えず、事前に自分の耐久下落幅を計算しておくことが重要です。
自分のポジションで追証になる下落率をすぐに計算する方法はありますか?
記事内で紹介している追証シミュレーターを使うと、建玉・保証金・掛け目を入力するだけで維持率と耐久下落幅を自動計算できます。手計算をせずに自分の状況をすぐ把握したい場合に便利です。