何%の下落で追証になるか — 代用有価証券モデルで全パターン計算してみた

追証が「急に来る」理由

多くの個人投資家は保証金を現金ではなく保有株式(代用有価証券)で差し入れています。ここに落とし穴があります。

現金担保なら、下落時に目減りするのは建玉の評価額だけ。ところが担保が株式の場合、建玉と担保が同時に下落します。この二重の目減りが、維持率を現金担保より大きく、そして非線形に悪化させます。

計算に使う式

代用有価証券モデルで建玉と担保を同率下落させた場合、下落後の維持率は次の式で計算できます。

下落後維持率 = 初期維持率 × (1 − 下落率) − 100 × 下落率

整理すると:

= 初期維持率 − (初期維持率 + 100) × 下落率

初期維持率が高いほど下落率にかかる係数が大きく、ポイントとしての目減りも大きくなります。ただし余裕も大きいので、追証に最初に追い込まれるのは維持率が低い層です。

全パターン計算表(追証ライン:30%)

縦が下落幅、横が初期維持率。セルの数値は下落後の維持率(%)です。

投げ売り連鎖の構造

表から、急落時の連鎖が3段階で読み取れます。

第一波:−10〜−15%

初期維持率30〜40%層が追証確定圏(20%以下)に突入。50%層も35%まで落ちており、さらに数%の下落で追証ラインに達します。レバレッジを効かせていた層から強制決済が始まります。

第二波:−20〜−25%

初期50〜60%層まで追証圏・危険水域に。維持率に余裕があると思っていた層が次々と追証になり、売り圧力が再加速します。−25%以降は初期維持率30〜40%の層がマイナス——保証金が評価損に食い潰され、担保以上の借入残高が残る状態です。

第三波:−30%以降

初期維持率90%でも33%まで落ち、追証ラインすれすれ。「十分余裕があったはずなのに」という声が出るのがこのゾーンです。リーマンや2024年8月級の下落で想定外の層まで投げが出た構造的な理由がこれです。

何%の下落で追証になるかを逆算する

式を逆算すると、追証ラインに到達する下落率が求められます。

追証になる下落率 = (初期維持率 − 追証ライン) ÷ (初期維持率 + 100)

追証ラインを30%とした場合:

初期維持率追証になる下落率
30%0%(すでにライン上)
40%約7%
50%約13%
60%約19%
70%約24%
80%約28%
90%約32%
100%35%
150%48%
200%約57%

信用取引をしているなら、「いま自分は何%の下落まで耐えられるか」を把握しておくことが最低限のリスク管理です。急落時のパニック判断を避けるために、数字を事前に計算しておきましょう。


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