子どもの将来資金を非課税で作る方法 — 新NISAは18歳未満は開設不可という制約

「子どもの教育資金を、新NISAで非課税運用しながら準備したい」——そう考える親御さんは多いはずです。しかし結論から言うと、新NISAは18歳以上(口座開設の年の1月1日時点で18歳以上)でなければ開設できません。未成年名義で新NISA口座を作ることは、現行制度上できないのです。

この制約はかつて存在した「ジュニアNISA」の記憶がある世代ほど戸惑うポイントかもしれません。この記事では、なぜ未成年は新NISAを使えないのかという制度の経緯を整理したうえで、それでも子どもの将来資金を非課税・低コストで育てるために親が取り得る現実的な選択肢を、メリット・デメリット込みで比較します。

新NISAは18歳未満(未成年)は開設不可

新NISAの口座開設要件はシンプルで、日本に住む18歳以上の個人であることが条件です。裏を返せば、生まれたばかりの赤ちゃんはもちろん、高校生であっても18歳未満である限り、本人名義の新NISA口座を持つことはできません。

これは「未成年者は投資判断の主体になれない」という前提と、後述するジュニアNISAが十分に普及しなかった経緯を踏まえた制度設計だと理解しておくとよいでしょう。つまり、子ども名義で非課税投資を始めたいと思っても、その子が18歳になるまでは物理的に不可能というのが今の制度の現実です。

ジュニアNISAはなぜ終了したのか

「未成年でも非課税投資ができる制度」は、かつて実際に存在しました。それが2016年に始まった「ジュニアNISA」です。しかし新規の投資枠での買付は2023年で終了し、新NISAへの統合にあたって制度自体が幕を閉じました。

一般的に語られる経緯を簡単に振り返ります。

  • ジュニアNISAは年間80万円までの非課税投資枠が用意されていたが、原則として子どもが18歳になるまで払い出せないという制約が敬遠され、口座開設数が伸び悩んだとされる
  • 制度の終了が決まった際、この払出し制限が撤廃され、2024年以降はいつでも非課税で払い出せるようになった
  • 終了後もすでに保有している資産は、子どもが18歳になるまで非課税のまま保有を継続できる経過措置が設けられた

つまり、すでにジュニアNISA口座を持っている家庭にとっては、非課税での保有自体は続けられる状況にあります。一方で、これから新しく未成年名義の非課税投資口座を作る手段は、現行制度には存在しません。この経緯や自身の資産の取り扱いの詳細は、証券会社や税理士等の専門家に確認することをおすすめします。

子どもの将来資金、親が取れる3つの選択肢

未成年名義の非課税投資ができない以上、子どもの将来資金(教育資金など)を作りたい親が検討すべき選択肢は、大きく3つに整理できます。

選択肢概要メリット注意点
① 親自身の新NISA枠を使う親名義の新NISA口座で運用し、将来必要なタイミングで子どもに渡す(贈与)非課税枠を最大限活用できる。生涯1800万円の枠内で柔軟に運用できる名義は親のまま。渡す際の贈与税の考え方に注意が必要
② 課税口座(未成年口座)を作る証券会社で子ども名義の未成年口座(特定口座)を開設し、親が運用管理する子ども名義で資産を持てる。制度上の年齢制限がない運用益に約20%課税される。贈与税の論点も同様に生じる
③ 非投資商品で備える学資保険、こども向け定期預金など元本保証・計画的な積立に向く。値動きのストレスがない物価上昇(インフレ)に対して実質的な目減りリスクがある。増える額は限定的

どれが正解ということはなく、リスク許容度や資金の使い道(何年後にいくら必要か)によって向き不向きが変わります。実際には①と③を組み合わせる、あるいは①をベースにしつつ②を一部併用する、といったハイブリッドな考え方をする家庭も少なくありません。

① 親名義の新NISAで運用し、将来渡す

もっとも非課税メリットを活かしやすいのがこの方法です。親自身が新NISAの成長投資枠・つみたて投資枠を使って長期運用し、進学時などのタイミングで教育資金として子どもに渡す(あるいは親が学費として直接支払う)というシンプルな発想です。

年間の投資枠や、成長投資枠とつみたて投資枠をどう配分すべきかという実践的な考え方は、新NISA 成長投資枠とつみたて投資枠の使い分けで詳しく整理しています。

② 課税口座(未成年口座)で子ども名義の資産を持つ

「非課税ではなくてもいいので、子ども名義で資産を持たせたい」という考え方であれば、証券会社の未成年口座(特定口座)を利用する方法もあります。ただしこちらは新NISAのような非課税優遇はなく、運用益には通常どおり課税されます。また、口座名義は子どもであっても、実質的に親が資金を拠出し運用を管理している場合、後述する名義預金の論点は同様に生じ得ます。

③ 学資保険・預金などの非投資商品

値動きのリスクを取りたくない、または元本を確実に確保したいという家庭であれば、学資保険やこども向け定期預金といった非投資商品も有力な選択肢です。増える額は投資に比べて限定的ですが、「必要な時期に必要な額が確実にある」という計画性の高さが強みです。教育資金の一部をこうした商品で確保しつつ、残りを投資に回すという役割分担も現実的な考え方です。

親名義で運用する場合の注意点 — 名義預金と贈与税

選択肢①(親名義の新NISAで運用し、将来子どもに渡す)を選ぶ場合、頭の片隅に置いておきたい論点が2つあります。

名義預金の考え方 子ども名義の口座に親がお金を入れ続けていても、実質的な管理・支配を親が行っている場合、税務上は「名義預金」(実質的には親の財産)とみなされる可能性があるという考え方が一般的に知られています。逆に、親名義の口座で運用している資産は、名義通り親の財産として扱われるのが原則です。

贈与税の考え方 親から子どもへ資産を渡す行為は、金額や渡し方によっては贈与とみなされ、贈与税の課税対象になり得ます。年間の非課税枠(暦年贈与)内に収める、教育資金の一括贈与に関する非課税制度を活用するなど、渡し方によって税務上の扱いは大きく変わってきます。

これらはいずれも個別の家庭の状況(贈与の頻度、金額、資金の管理実態など)によって判断が分かれる、専門性の高い領域です。具体的な資産の渡し方や税務上の取り扱いについては、必ず税理士等の専門家にご確認ください。

18歳になったら早めに新NISAを始めるべき理由

制度上、子どもが自分名義で新NISAを使えるようになるのは18歳からです。だからこそ意識しておきたいのが、その日が来たらできるだけ早く口座を開設し、積立をスタートさせるという発想です。

資産運用において時間は最大の武器です。運用益がさらに運用益を生む複利の仕組みは、運用期間が長いほど効果が大きくなります。18歳から積立を始めた場合と、就職後の20代後半から始めた場合とでは、たとえ毎月の積立額が同じでも、最終的な資産額に無視できない差が生まれます。複利がなぜこれほど効くのかという仕組みは、複利の力で数値例とともに解説していますので、子どもが18歳になったタイミングで一緒に読んでもらうのもよいでしょう。

毎月の積立とドルコスト平均法の相性

新NISAのつみたて投資枠は、毎月定額での積立購入を前提とした制度設計になっています。これはまさに「ドルコスト平均法」——同じ金額で定期的に買い続けることで、価格が安いときに多く、高いときに少なく買い、平均取得単価を平準化する手法——と非常に相性が良い仕組みです。

18歳になった子どもが新NISAを始める際も、まとまった資金を一度に投じるより、毎月の収入(アルバイトや初任給など)から無理のない範囲で積立を続けるほうが、心理的な負担も少なく継続しやすいはずです。仕組みの詳細とメリット・限界については、ドルコスト平均法とはで詳しく整理しています。親としては、この積立の「型」を早いうちから子どもに伝えておくこと自体も、立派な教育資金対策の一つと言えるかもしれません。

まとめ

  • 新NISAは18歳以上でなければ開設できず、未成年名義での非課税投資は現行制度上不可能
  • かつて存在したジュニアNISAは2023年で新規受付を終了。既存分は非課税での保有継続が可能で、払出し制限も撤廃済み
  • 子どもの将来資金を作る選択肢は主に3つ——①親の新NISA枠で運用し将来渡す、②課税口座(未成年口座)で子ども名義を持つ、③学資保険・預金など非投資商品
  • 親名義で運用し将来渡す場合は、名義預金や贈与税の考え方に注意し、詳細は税理士等の専門家に確認する
  • 子どもが18歳になったら、できるだけ早く新NISA口座を開設し、複利とドルコスト平均法を味方につけた積立を始めることが長期的には大きな差を生む

制度上の制約は制約として正しく理解しつつ、「今できること」と「18歳になってからできること」を分けて考えることが、子どもの将来資金作りを着実に進める第一歩になります。


免責事項: 本記事は一般的な情報提供であり、投資助言・税務助言ではありません。贈与税等の税務上の取り扱いは個別の状況により異なります。実際の判断は税理士等の専門家にご確認ください。

戦略太郎 @kabu_strategy_g

医学生 × 個人投資家 × 個人開発者。日本株の需給・信用取引を中心に売買しながら、 相場の「しくみ」を数字で検証する記事と、投資計算ツールをNext.jsで開発・公開しています。